顔向
かおむき
名詞
標準
文例 · 用例
石・苔・偃松(白河内岳に登る記) 野営を撤して、濡れそうなものは油紙で包み、岩伝いに北を向いて、大籠山と後で名をつけた一峰に達した、三等三角測量標が立っている、霧が吹雨を浴びせかけて、顔向けも出来なかったが、白峰山脈で、初めての三角標に触れたのだから、ちょっと去りにくい気がした。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
そんな真似をした日には、二度と再び世の中に顔向けができない。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
この世に生きていないつもりなら、羞汚も顔向けもありはしない。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
その窓に時々姿を見せて、われに笑顔向けたまうは、うつくしき姉上なり。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
里へ帰って親兄弟や親類にも顔向けが出来ない。
— 津の国屋 『半七捕物帳』 青空文庫
これまでになつて此話が破れれば、私は金主に対して済まないことにもなるが、それはまだいいとして、私の本人に申訳が無いし、相手方の代理人の大草さんにも顔向けが出来なくなる。
— 平出修 『瘢痕』 青空文庫
私もこの子には引かされますし、一度|失敗ってもいるものですから、今度またまごつくようなことでもあれば、それこそ親類に顔向けも出来ませんのでございます。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
小屋の戸を開けると顔向けも出来ないほど雪が吹き込んだ。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫