海岸伝い
かいがんづたい
名詞
標準
along the coast
文例 · 用例
やがて歩けるようになると私は杖をついて海岸伝いの道をあるいてみる。
— 黒島傳治 『海賊と遍路』 青空文庫
竹のステッキで、海浜の雑草を薙ぎ払い薙ぎ払い、いちどもあとを振りかえらず、一歩、一歩、地団駄踏むような荒んだ歩きかたで、とにかく海岸伝いに町の方へ、まっすぐに歩いた。
— 太宰治 『黄金風景』 青空文庫
で、政府に収入がなくなったばかりで無く、遊楽地という遊楽地は火の消えた様に寂れる仕末…………ここから海岸伝いで国境を越えたサン・セバスチアンが宜い例ですよ。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫
逗子の停車場から自動車で、危険な海岸伝いに帰って来ることが何となく危まれ出した。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
半道程海岸伝いに歩いて埠頭に出たが、彼等を乗せて往く船は、門構に守衛の立っている塀の中をはいった向うの岸壁に碇泊しているとのことだった。
— 金史良 『親方コブセ』 青空文庫
ところで校門を出てポプラの並んだ広い道を左に曲ると、彼の住んでいる山懐の傾斜の下まで、海岸伝いに大きな半円を描いた国道に出るのであったが、しかし、その国道を迂廻して帰るのが、彼にとっては何よりも不愉快であった。
— 夢野久作 『木魂』 青空文庫
然るにその砂浜に残っている足跡といっては、対岸のR市から波際伝いに歩いて来た二人の沙魚釣男のソレと、その前に郊外電車の停留場から、やはり海岸伝いに帰って来て、マリイ夫人の死骸を見て仰天し、波打際でブッ倒おれた迄のロスコー氏の靴跡を除いては何一つ発見出来なかった。
— 夢野久作 『S岬西洋婦人絞殺事件』 青空文庫
海員が「ベンボー提督屋」に泊ると(折々海岸伝いにブリストル(註七)へ行く者が泊ることがあったのだ)、彼はカーテンをつけてある入口からその男を覗いて見てから、談話室へ入るのであった。
— 宝島 『宝島』 青空文庫