迎火
むかえび
名詞
標準
文例 · 用例
迎火を焚いて誰待つ絽の羽織十八 ただ驚ろかれたのは身体の変化である。
— 夏目漱石 『思い出す事など』 青空文庫
昨夜はこの母の魂を迎へるために夕暮の門に出て迎火をした。
— 田山録弥 『谷合の碧い空』 青空文庫
みぞ萩の花さく溝の草むらに寄せて迎火たく子等のをり 蝦夷菊は畑の花、それを野原に移した様な松虫草がある。
— 若山牧水 『秋草と虫の音』 青空文庫
さて魂むかえの夕べは家々の門に迎火の光り淋しく、法衣着た人々の棚経に忙しきも何やらん意味ありげだ。
— 柴田流星 『残されたる江戸』 青空文庫
苧殻のかわりに麦からで手軽に迎火を焚いて、それでも盆だけに墓地も家内も可なり賑合い、緋の袈裟をかけた坊さんや、仕着せの浴衣単衣で藪入に行く奉公男女の影や、断続して来る物貰いや、盆らしい気もちを見せて通る。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
子供たちはお迎火を焚いて馴れぬ手に珠数をつまぐる。
— 吉田絃二郎 『八月の星座』 青空文庫
盂蘭盆の燈籠や果敢ない迎火の烟も見られる。
— 一名 東京散策記 『日和下駄』 青空文庫
普通な顔をして、門口のお迎火を跨いで入って来てくださればそれでいいのですわ」「迎火を跨いで、それからどうします?
— 久生十蘭 『生霊』 青空文庫