長櫃
ながびつ
名詞
標準
文例 · 用例
と云うのは、奥の長櫃の上で、津多子夫人は生死を四人の賽の目に賭けて、両手を胸の上で組み、長々と横たわっているのであった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
四方の壁と穹窿とには、鬼神竜蛇さまざまの形を画き、「トルウヘ」といふ長櫃めきたるものをところどころに据ゑ、柱には刻みたる獣の首、古代の楯、打物などを懸けつらねたる間、いくつか過ぎて、楼上に引かれぬ。
— 森鴎外 『文づかひ』 青空文庫
四方の壁と穹窿とには、鬼神竜蛇さまざまの形をえがき、「トルウヘ」という長櫃めきたるものをところどころにすえ、柱には刻みたる獣の首、古代の楯、打ち物などをかけつらねたる間、いくつか過ぎて、楼上にひかれぬ。
— 森鴎外 『文づかい』 青空文庫
それはさうと、あたしの長櫃はもう出来て?
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 後篇』 青空文庫
その代り、あれだけの長櫃はどんな梵妻のとこにだつてありつこなしさ。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 後篇』 青空文庫
伊右衛門はしかたなしに屋根へあがって応急の修繕をしようとしたが、足を踏み外して腰骨を打って動けなくなったうえに、耳の際を切った疵が腐って来て膿が出るので、それに鼠がついて初めは一二匹であったものが、次第に多くなって防ぐことができないので、長櫃の中へ入れておくうちに七月十一日になって死んでしまった。
— 田中貢太郎 『四谷怪談』 青空文庫
二階は昇口の処に三畳敷位の空間をおいて箪笥や長櫃を置いてあった。
— 田中貢太郎 『春心』 青空文庫
「あれさ、あの長櫃の中だよ」 お高の指は左側の壁に沿うて並べた長櫃の一つへ往っていた。
— 田中貢太郎 『春心』 青空文庫