紊
紊
名詞
標準
文例 · 用例
然りと雖も相互に於ける身分の貴賤、貧富の隔壁を超越仕り真に朋友としての交誼を親密ならしめ、しかも起居の礼を失わず談話の節を紊さず、質素を旨とし驕奢を排し、飲食もまた度に適して主客共に清雅の和楽を尽すものは、じつに茶道に如くはなかるべしと被存候。
— 太宰治 『不審庵』 青空文庫
と、当代の男性にとっての理想の女性は脚部の肉色のデコルテを紊して云った。
— 吉行エイスケ 『職業婦人気質』 青空文庫
いままでソファの底に沈んで、情婦のつくってくれたあたたかいラム・パンチをのんでいた田村英介氏は四家フユ子のデコルテの紊れに強い感情を乱されて、――おまい、僕と別れたいんだろう――――ノン、あなたが妾を囲いものにするからさ。
— 吉行エイスケ 『職業婦人気質』 青空文庫
遠くの父母や兄弟の顔が、これまでになく忌わしい陰を帯びて、彼の心を紊した。
— 梶井基次郎 『過古』 青空文庫
しばらくすると彼はまた突然に合唱のリズムを紊しはじめた。
— 梶井基次郎 『交尾』 青空文庫
キヤリコは白紗のやうな鰭に五彩の豹紋を撒いた体を、花と紊し房に紋つてゐる。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
風俗を紊乱し国民を腐敗せしむるパチルスのみ。
— 押川春浪 『警戒すべき日本』 青空文庫
社会の風俗を紊乱し、国民を腐敗せしむるも、猶ほ自己の文学を保護せざる可からずと為すか。
— 押川春浪 『警戒すべき日本』 青空文庫