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黒光り

くろびかり
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
1
標準
black lustre
文例 · 用例
然しその海の上にも星変り、月変つて、――と茲で、私の目は漸く海を去つて、なんだか海と空との中間の奥といつた感じの方角に、過ぎ逝ける諸世紀が、黒光りする中世の武具の色をして、堵をなして潜んでゐるやうに感じられる。
――人と海―― 海の詩 青空文庫
そうして黒光りのする台所の板間で、薄暗い石油ランプの燈下で一つ一つ皮を剥いでいる。
寺田寅彦 郷土的味覚 青空文庫
もう十二三年も前に使っていたものだが、ひびきも入っていず、黒光りがして、重く如何にも木質が堅そうだった。
黒島伝治 二銭銅貨 青空文庫
馬は黒光り、はねあがる。
宮沢賢治 山地の稜 青空文庫
四畳半の茶の間には一尺二寸位の小炉が切ってあって、竹の自在鍵の煤びたのに小さな茶釜が黒光りして懸っているのが見えたかと思うと、若僧は身を屈して敬虔の態度にはなったが、直と区劃になっている襖を明けてその次の室へ、いわば闖入せんとした。
幸田露伴 観画談 青空文庫
黒光りのする店先の上がり框に腰を掛けた五十歳の父は、猟虎の毛皮の襟のついたマントを着ていたようである。
寺田寅彦 銀座アルプス 青空文庫
心細く感じながらも、ひとりでそっと床から脱け出しまして、てらてら黒光りのする欅普請の長い廊下をこわごわお厠のほうへ、足の裏だけは、いやに冷や冷やして居りましたけれど、なにさま眠くって、まるで深い霧のなかをゆらりゆらり泳いでいるような気持ち、そのときです。
太宰治 青空文庫
その黒光りの房の中に、ほんの一つか二つ、小さな青いつぶがまじってゐるのです。
宮沢賢治 葡萄水 青空文庫