暮れ頃
くれごろ
名詞
標準
文例 · 用例
一体、あすこいら辺はガラアヂだとか倉庫みたいなものばかりあって、灯影が割合に乏しく、道を歩く人もわけて日暮れ頃なぞには少いのだが、その夕方はどうしたものか井深君はたった一人も、兎に角自分の体の付近にはたった一つの人影をも見ることが出来なかったのである。
— 渡辺温 『少女』 青空文庫
去年の暮れ頃からお筆さんと上林君とはいよいよ親密になって、夜になって上林君が散歩に出ると、そのあとからお筆さんもそっと出て行くことがありました。
— 岡本綺堂 『探偵夜話』 青空文庫
歩いて三日、日も暮れ頃辿り着いた時は、さしずめ見るもの聞くもの凡てが戸惑いだった。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
梭の音矢車草の 咲く村で日の暮れ頃だと思やんせトントン カラリと梭の音トントン カラリと梭の音矢車草の 咲く村で糸より細いと思やんせトントン トロリと唄の朝トントン トロリと唄の朝。
— 野口雨情 『沙上の夢』 青空文庫
夏萩は白い花をいい頃合に着けて、夕暮れ頃の雨上りの露を含んでおります。
— 上村松園 『虹と感興』 青空文庫
或るとき、何でも行った年の暮れ頃らしい。
— 宮本百合子 『三郎爺』 青空文庫
さうして日暮れ頃枯葉を一ぱい身につけて歸つてきては、圍爐裡のそばにさびしさうに上り込んでゐた。
— 堀辰雄 『ふるさとびと』 青空文庫
日暮れ頃には必ずむずがり始める子供達を叱りつけながら、四番めを妊娠している女房は、汽車酔が出たのか青い顔して、三番めの子に乳をふくませていた。
— 徳永直 『冬枯れ』 青空文庫