水鉢
すいばち
名詞
標準
文例 · 用例
狭き庭の中垣ともいわず手水鉢ともいわず朝顔を這いつかせたり。
— 伊藤左千夫 『草花日記』 青空文庫
「お父さん金魚が死んだよ、水鉢の金魚が」「おんちゃん金魚がへんだ。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
父は引かるるままに三児のあとから表にある水鉢の金魚を見にいった。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
五、六匹死んだ金魚は外に取り捨てられ、残った金魚はなまこの水鉢の中にくるくる輪をかいてまわっていた。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
奈々子は水鉢の縁に小さな手を掛け、「きんご、おっちゃんきんご、おっちゃんきんご」「もう金魚へにゃしないねい。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
「家は腰高の塗骨障子を境にして居間と台所との二間のみなれど竹の濡縁の外には聊かなる小庭ありと覚しく、手水鉢のほとりより竹の板目には蔦をからませ、高く釣りたる棚の上には植木鉢を置きたるに、猶表側の見付を見れば入口の庇、戸袋、板目なぞも狭き処を皆それぞれに意匠して網代、船板、洒竹などを用ゐ云々」。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
ガラス障子の外には、狭い形ばかりの庭ではあるが、ちょっとした植込みに石燈籠や手水鉢などが置いてあった。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫
そして手水鉢にはいつでも清水がいっぱいに溢れていた。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫