寸善
すんぜん
名詞
標準
文例 · 用例
けれども、こうして手短かに語ると、さして大きな難儀も無く、割に運がよく暮して来た人間のようにお思いになるかも知れませんが、人間の一生は地獄でございまして、寸善尺魔、とは、まったく本当の事でございますね。
— 太宰治 『ヴィヨンの妻』 青空文庫
寸善尺魔の譬えで、万一きのうのうちに他人の手に渡ってしまったらどうするか。
— 仮面 『半七捕物帳』 青空文庫
こゝで一寸善蔵氏に批評的な言葉を云つて見ると、彼は、さういふ場合に、非常に親切である。
— 牧野信一 『余の倅に就いて』 青空文庫
人生はつねに寸善尺魔である。
— 佐藤紅緑 『少年連盟』 青空文庫
もっとも、悪人は来世のない方を喜びましょうが、いやしくも寸善尺徳をなしたる記憶あるものは、来世の存するを聞きて安心するに相違ない。
— 井上円了 『通俗講義 霊魂不滅論』 青空文庫
自ら顧るときは不徳|※才事志と違うこと多しと雖、而も寸善を積みて止まざるときは、何れの日|乎必成の期あるべきを信ずる事深し。
— 関寛 『関牧塲創業記事』 青空文庫
此奴は好い」「寸善尺魔だから善は急げということになる」「しかしそんなのに選抜して貰っちゃ大変だよ。
— 佐々木邦 『ロマンスと縁談』 青空文庫
そして、長い並木も短く思えて興に吾を忘れてくると、突、寸善尺魔、闇を切って飛んできた投げ槍の禍い―― ……………… 大之進から、こうつぶさに話されたので、新九郎は己れの姓を名乗り、身の上の一端を明かさなければ悪い気がした。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫