秋霧
あきぎり
名詞
標準
文例 · 用例
木の葉半ば落ちて大空の透かし見らるる林を秋霧立ちこむる朝|訪わばいかに心騒がしき人もわれ知らず四辺の静けさに耳そばたつるなるべし。
— 国木田独歩 『わかれ』 青空文庫
秋霧に立ちおくれぬと聞きしより時雨るる空もいかがとぞ思ふ とだけであった。
— 葵 『源氏物語』 青空文庫
雲のゐる峰のかけぢを秋霧のいとど隔つる頃にもあるかな そのあとで歎息するらしい息づかいの聞こえるのも非常に哀れであった。
— 橋姫 『源氏物語』 青空文庫
秋霧の晴れぬ雲井にいとどしくこの世をかりと言ひ知らすらん 薫の歌である。
— 椎が本 『源氏物語』 青空文庫
秋霧の林の奥の一つ家に啄木鳥飼ふと人教へけり 故あつて失踪した人、恐らくは自分を思つてその思ひの遂げられぬことが分つた為に失踪したらしいあの人が、秋霧の深い山の奥の一軒屋にかくれ住んで啄木鳥を友として静かに暮してゐるといふ噂がこの頃聞えて来た。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
二荒山雲を放たず日もこぼれ雨もこぼるる戦場が原 男体白根は雲中に出没し、戦場が原は秋霧が渦を巻いて白け渡り索漠たる光景を呈してゐる。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
秋霧宮本百合子-------------------------------------------------------【テキスト中に現れる記号について】:ルビ(例)好いて:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定(例)無限のさかえに引き入れられる。
— 宮本百合子 『秋霧』 青空文庫
------------------------------------------------------- 一面、かなり深い秋霧が降りて水を流した様なゆるい傾斜のトタン屋根に星がまたたく。
— 宮本百合子 『秋霧』 青空文庫