行き抜け
ゆきぬけ
名詞
標準
文例 · 用例
」 と一人が、浪路の帯を突きざまに行き抜けると、「浜でも何人抜かれたやら。
— 泉鏡花 『小春の狐』 青空文庫
柱は残らず火になったが、取着の壁が残って、戸棚が真紅、まるで緋の毛氈を掛けたような棚を釣った上と下、一杯になって燃えてるのを私あお宅を行き抜けにお出入の合ったお庇にゃ、要害は知ってまさ。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
黙っていれば悟られずに、行き抜ける便もあるに、隠そうとする身繕、名繕、さては素性繕に、疑の眸の征矢はてっきり的と集りやすい。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
その原をようように行き抜けて水道橋へ出ても、お茶の水の堤ぎわはやはり真っ暗で、人通りはない。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
その原をようように行き抜けて水道橋へ出ても、お茶の水の堤際はやはり真暗で人通りはない。
— 岡本綺堂 『三崎町の原』 青空文庫
しかし兄の平生から察すると、そんな行き抜けの人となりでもなさそうであった。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫
掌に顎を支えたる余の心も、わが住む部屋のごとく空しければ、春風は招かぬに、遠慮もなく行き抜けるであろう。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
彼の心は底のない嚢のように行き抜けである。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫