行き合う
いきあう
動詞
標準
文例 · 用例
この土地は、東京の郊外には違いありませんが、でも、都心から割に近くて、さいわい戦災からものがれる事が出来ましたので、都心で焼け出された人たちは、それこそ洪水のようにこの辺にはいり込み、商店街を歩いても、行き合う人の顔触れがすっかり全部、変ってしまった感じでした。
— 太宰治 『饗応夫人』 青空文庫
山の祖神の翁は行き合う人に訊ねることを唯一の手がかりにしてひたすら東の方にある山を望んで足を運ばせた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
行き合う人がみんなあなたを見返るのよ。
— 岡本かの子 『明暗』 青空文庫
彼は街上で行き合う女達の指さえも見逃さなかった。
— 佐左木俊郎 『指と指環』 青空文庫
広い世界を、広い世界に住む人間が、随意の歩調で、勝手な方角へあるいているとすれば、御互に行き合うとき、突き当りそうなときは、格別の理由のない限り、両方で路を譲り合わねばならない。
— 夏目漱石 『文芸の哲学的基礎』 青空文庫
槍の穂先に冠をかけて、窓近く差し出したる時、ランスロットとギニヴィアの視線がはたと行き合う。
— 夏目漱石 『薤露行』 青空文庫
歩いて行き合うかも知れぬが、寝ている所へ来るかも知れぬ」 宇平の口角には微かな、嘲るような微笑が閃いた。
— 森鴎外 『護持院原の敵討』 青空文庫
そうするとその鏡に映っている自分の罪の姿も、やはり自分を振り返っているので、双方の視線が必然的にピッタリと行き合う。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫