切ら無い
きらない
形容詞
標準
not through
文例 · 用例
地震のあった昭和五年十一月二十六日から四年半近くの年月がたったのに、この大地の生創はまだ癒えきらないのである。
— 寺田寅彦 『箱根熱海バス紀行』 青空文庫
いきなりそんな大きな声をなすつて……」 さうたづねかけながら、奧さんは女|学生らしさのまだ十分にぬけきらない若々しいひとみを青木さんに投げかけた。
— 南部修太郎 『夢』 青空文庫
吉永は、丘の上の兵営から、まだ、すっかり雪の解けきらない広漠たる曠野を見渡しながら、自分がよくも今まで生きてこられたものだ、とひそかに考えていた。
— 黒島伝治 『渦巻ける烏の群』 青空文庫
でも、辮髪きらない、税金無理やり取って行く。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
自分ではちやんと、到底その一つだつても完成しきらないのをよく知りぬいてゐますもの。
— 有島武郎 『水野仙子氏の作品について』 青空文庫
清逸は煮えきらない部屋の空気を身に感じながら、その川音に耳をひかれた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
まだ生徒たちは帰りきらないで、廊下で取組合いをするものもあるし、玄関に五六人ずつかたまって、教師といっしょに帰ろうと待ちながら、大声でわめいているものもあるし、煤掃きのような音を立てて、教室の椅子卓を片づけているものもあった。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
これから冗談はあらかじめ断ってからいうことにしましょう」「まったくあなたは己惚れが強いわねえ」 といいきらないうちに奥さんは口許に袖口を持っていって漣のように笑った……眼許にはすぎるほどの好意らしいものを見せながら。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫