辺憚
へん憚
名詞
標準
文例 · 用例
同勢は空屋へ寄って来てほしいままに酒を呷ったり、四辺憚らぬ高声で流行唄を謳ったりした。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
』と四辺憚からぬ澄んだ声が響いて、色|褪せた紫の袴を靡かせ乍ら、一人の女が急足に追駆けて来た。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫
廊下を隔て、離れ座敷のようになっている自分の部屋の柱に倚り掛って、卑しい笑を漂べながら、夫人の声高な笑いを想像していた正隆は、不意に、子供の、澄んだ、無邪気な声が、四辺憚らず、朗かに、彼から教えられた言葉を繰返すのを聞くと一緒に、自分の教えたのも忘れて、耳を覆わずにはいられなかった。
— 宮本百合子 『渋谷家の始祖』 青空文庫
彼らは本国寺の寺中へ入って行くから、兵馬は寺の門を潜らず、しばらく遠のいて、門の中を見張っていると、ほどなく井村と新参の浪士と二人は面の相好を崩して門を出て来ましたが、彼等は壬生へは引返さないで、本願寺裏手の方を四辺憚らず笑い興じながら島原口まで来ました。
— 壬生と島原の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
』と四邊憚からぬ澄んだ聲が響いて、色褪せた紫の袴を靡かせ乍ら、一人の女が急ぎ足に追驅けて來た。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫