村濃
むらご
名詞
標準
文例 · 用例
沈の木の折敷が四つ、紫檀の高坏、藤色の村濃の打敷には同じ花の折り枝が刺繍で出してあった。
— 宿り木 『源氏物語』 青空文庫
領民たちは本丸の馬場にあつまっていた、真名女は姫に兜を持たせて城壁の上へあらわれた、五人の旗がしらが扈従していたが、萌黄村濃の鎧に太刀を佩いた真名女のすがたは五人の武者をはるかにぬいてみごとだった。
— 笄堀 『日本婦道記』 青空文庫
すると、館の出口に、紺村濃の直垂に、小具足を附けて、跪いている若者がある。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
そこで日本独楽のはじまりは、行成大納言、小松つぶりに村濃の糸をそえまして、御所でまわしたのがヤンヤとはやりだしました初め。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
西山夕陽を啣みて、海波紫に、うち渡す暮烟の中に、ひとむら濃きは杉田なるべく、うれしくも花候におくれざりしと、まづ心ゆきしが、やがて杉田に近づけば、暗香おのづから人を撲つに、ゆかしさ限りなし。
— 大町桂月 『杉田の一夜』 青空文庫
丁度満潮時で、海面は白と藍のむら濃になってゆるやかに息をついて居る。
— 宮本百合子 『冬の海』 青空文庫
島田に紫と白のむら濃の房のついた飾をつけ、黄八丈の着物をつけた娘が、ぼんやりした若々しさを瞳の底に湛えて、その様子を見ている。
— 宮本百合子 『繻珍のズボン』 青空文庫
縹色(露草染め)のむら濃の狩衣に、よい太刀を佩いた武者烏帽子の武人である。
— みなかみ帖 『私本太平記』 青空文庫