掻払
掻払
名詞
標準
文例 · 用例
それを掻払うごとく、目の上を両手で無慚に引擦ると、ものの香はぱっと枕に遁げて、縁側の障子の隅へ、音も無く潜んだらしかったが、また……有りもしない風を伝って、引返して、今度は軽く胸に乗る。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
――三日目に、仕入の約二十倍に売れたという 味をしめて、古本を買込むので、床板を張出して、貸本のほかに、その商をはじめたのはいいとして、手馴れぬ事の悲しさは、花客のほかに、掻払い抜取りの外道があるのに心づかない。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
向脛を掻払って、ぎゃっと傾倒らしてくれますわ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
それともに、な、国手、お前んの生命を掻払いさえすりゃ、お孝との捩が戻って、早い話が旧々通り言うことを肯いて、女が自由になる見込さえあればですだ、それこそ、お前んが国手でも、神でも、仏でも、容赦する気は微塵も無いだ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
(この時人々の立かかるを掻払う)六根清浄、澄むらく、浄むらく、清らかに、神に仕うる身なればこそ、この邪を手にも取るわ。
— 泉鏡花 『多神教』 青空文庫
人のものを掻払って食べるか、身を売って食うか、人をだまして食べるか。
— 宮本百合子 『社会と人間の成長』 青空文庫
」あるいは失業者の息子が二人、店に掻払いにきたのに、亀のチャーリーがつかまえて説得して「本」をやると「二人はやがていいピオニイルに成長して、いつも二人で組になって活動した」と。
— ――「亀のチャーリー」「幼き合唱」「樹のない村」―― 『一連の非プロレタリア的作品』 青空文庫
同じ悪党とは云ひながら、押込みよりや掻払ひ、火つけよりや巾着切が、まだしも罪は軽いぢや無えか。
— 芥川龍之介 『鼠小僧次郎吉』 青空文庫