応引
おうひき
名詞
標準
文例 · 用例
杉は一応引き取って、両隊長署名の届書を出し、この上|御訊問の筋があるなら、本人に出頭させようと言い添えた。
— 森鴎外 『堺事件』 青空文庫
だがそれにしても、欝陵島とは、大分方角が違っとるね」「いや、とにかくそれで」と丸辰は手の甲でやたらに口ばたをコスリながら、「もうその時署長は、どうも岩倉の大将の云うことは、おかしいなとは思ったんだが、どの途その場ではケジメもつけかねて、まず一応引きあげた。
— 大阪圭吉 『動かぬ鯨群』 青空文庫
一応引くことに致しましょう」 驚いたのは伊集院、「何を云われる、不届き千万!
— 国枝史郎 『任侠二刀流』 青空文庫
蓋し対象から一応引き離して考えられた方法はその限り抽象的であることを免れないからだ。
— 戸坂潤 『現代唯物論講話』 青空文庫
しかし、私の問題にしてゐる宗教的感情といふのは、もつと素朴な、原始的なものを指すので、思想的問題から一応引き離して考へることが大事と思ふのです。
— 岸田國士 『宗教と科学についての所感』 青空文庫
「寅吉は一応引立ててみたが、どうしてもお小夜を殺したとは言わねえ、――盗られた物はなし、寅吉より外に、下手人の匂いのするのもないが」 源吉はすっかり投げております。
— 活き仏 『銭形平次捕物控』 青空文庫
万七と相談をして、良きように取計らってやれ、拙者は一応引揚げる、いずれ又参るとして――」 寺社役河村半治は、晩酌の膳と内儀の顔が恋しくなった様子で、さっさと引揚げてしまいました。
— 群盗 『銭形平次捕物控』 青空文庫
これはすべて、この後に起った大事件の後で、平次とガラッ八が調べ抜いたことですが、この日は一応引合せられて、お妻の抜群な綺麗さと、商売人上がりらしい取成しの巧さに感心しただけの事です。
— 三千両異変 『銭形平次捕物控』 青空文庫