柳暗
りゅうあん
名詞
標準
文例 · 用例
僕とボップ、裏街の夜、アアク燈、柳暗花明の巷を駈け抜けると、古寺院の境内、数時間、僕はだまって経過した。
— 吉行エイスケ 『飛行機から墜ちるまで』 青空文庫
「拝啓|柳暗花明の好時節と相成候処いよいよ御壮健|奉賀候。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
「喜多村緑郎……」「あゝ、柳暗花明の巷が憧れの的になつた!
— 牧野信一 『思ひ出した事(松竹座)』 青空文庫
忠孝の結晶として神に祀られる乃木将軍さえ若い頃には盛んに柳暗花明の巷に馬を繋いだ事があるので、若い沼南が流連荒亡した半面の消息を剔抉しても毫も沼南の徳を傷つける事はないだろう。
— 内田魯庵 『三十年前の島田沼南』 青空文庫
柳暗花明、名にし負う傾斜のちまた。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
これは柳暗のことを書いたものである。
— 淡島寒月 『明治十年前後』 青空文庫
日本に居た時荷風君は境遇が然うさしたのかも知れないが素人女をば女性でないやうに思つて交際しやうとせず、專ら柳暗花明の巷の女にのみ接して青春を過したからである。
— 生田葵山 『永井荷風といふ男』 青空文庫
滿目の桃林と菜花とは云はずもがな、運河の支脈は村落の中を縱横に貫きて野人の家を繞ぐり、隣家を訪ひ隣村に赴かむとする者、必ず小船に棹して柳暗花明の間を過ぐ。
— 原勝郎 『貢院の春』 青空文庫