道の辺
みちのべ
名詞
標準
文例 · 用例
まだ子供が出来ない頃、この新婚の若夫婦は、山陰道の辺鄙な島々を旅し歩いた。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
「本が失くなったって、どこで失くなったんだい」「どこか、道の辺で失くしちゃった」「どうして失くなったことが分った?
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
それが求道の中途にあって肉親の温かい記憶を呼んだり、ある時は迂闊に道の辺の女人に水を求めて、はしなく恋情を醸さしめたりする。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
この執着は春の道の辺の陽炎のように、有りとして踏めば無くなる。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
ふたたび郷平橋を渡りつつ、赤平川を郷平川ともいうは、赤平の文字もと吾平と書きたるを音もて読みしより、訛りて郷平となりたるなりという昔の人の考えを宜ない、国神野上も走りに走り越し、先には心づかざりし道の辺に青石の大なる板碑立てるを見出しなどしつ、矢那瀬寄居もまた走り過ぎ、暗くなりて小前田に泊りたり。
— 幸田露伴 『知々夫紀行』 青空文庫
関所を抜けたらしく、四人の姿は、牧を追って山内と闘った道の辺に、小さく見えて来た。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
うち敷きて憩ふ落葉の今年葉の乾き匂ふよ山岨道にうら悲しき光のなかに山岨の道の辺の紅葉散りてゐるなり 其処を立って暫く行くと上高地に行く道と平湯に向うのとの分れる所に来た。
— 若山牧水 『みなかみ紀行』 青空文庫
しかも、念のためポケットに捻込んで置いた地図を引張り出して見たのだが、どうしたことか、最初の分れ道の辺から二時間ぐらいの間に迷ったと思われるあたりをいくら探して見ても、一向に沼のあるような印はつけられていないのだ。
— 蘭郁二郎 『植物人間』 青空文庫