唐櫃
からびつ
名詞
標準
six-legged Chinese-style chest
文例 · 用例
こういう徒の習い、得物をわざと投げ出したのは、こっちに油断させる為であろうと、半七は用心しながら追ってゆくと、式部は奥の八畳の間へ逃げ込んで、そこに据えてある唐櫃の蓋をあけようとするところを、半七はうしろからその腕を取った。
— 女行者 『半七捕物帳』 青空文庫
式部が唐櫃のまえで引っ縛られたときに、行者も善八の縄にかかっていた。
— 女行者 『半七捕物帳』 青空文庫
かれはもう三千両ほどをたくわえて、奥の唐櫃にしまい込んであったのを一切没収された。
— 女行者 『半七捕物帳』 青空文庫
十 その中に最も人間に近く、頼母しく、且つ奇異に感じられたのは、唐櫃の上に、一個八角時計の、仰向けに乗っていた事であった。
— 泉鏡花 『伊勢之巻』 青空文庫
客人はあと二、三日、石の唐櫃に籠ったように、我と我を、手足も縛るばかり、謹んで引籠ってござったし、私もまた油断なく見張っていたでございますが、貴下、聊か目を離しました僅の隙に、何処か姿が見えなくなって、木樵が来て、点燈頃、(私、今、来がけに、彼処さ、蛇の矢倉で見かけたよ、) と知らせました。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
唐櫃の熊 唐の寧王が※県の界へ猟に出て、林のなかで獲物をさがしていると、草の奥に一つの櫃を発見した。
— 酉陽雑爼(唐) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
大弐の夫人の贈った衣服はそれまで、いやな気がしてよく見ようともしなかったのを、女房らが香を入れる唐櫃にしまって置いたからよい香のついたのに、その人々からしかたなしに着かえさせられて、煤けた几帳を引き寄せてすわっていた。
— 蓬生 『源氏物語』 青空文庫
それが一種の神事となって今も廃れず、大祭当日には赤飯を入れた白木の唐櫃を舟にのせて湖心に漕ぎ出で、神官が祝詞を唱えてそれを水中に沈めるのを例とし、その前夜に燈籠流しを行なうことは前に云った通りである。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
作例 · 標準
神社の奥深くに安置された朱塗りの唐櫃には、代々の神宝が厳重に納められている。
湿気を避けるため、六つの脚で床から浮かせて作られた唐櫃は、古くから衣類や武具の保管に重宝されてきた。
博物館の企画展で、螺鈿細工が施された平安時代の唐櫃が公開され、その精緻な美しさが来場者を圧倒した。
例大祭の行列では、御神饌を納めた大きな唐櫃を数人の担ぎ手が担ぎ、威勢よく参道を練り歩く。