幽し
かそけし
'ku' adjective (archaic)
標準
faint
文例 · 用例
いま憂鬱の重たくたれた黒いびらうどの帷幕のかげをさみしく音なく彷徨するひとつの幽しい幻像はなにですか。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
次いで、尊氏は使者を比叡山に遣し、偽り降つて、天皇の御還幸を乞ひ奉り、天皇が還幸あらせられると、花山院に幽し奉つたので、天皇は夜に乗じて、神器を奉じて吉野に行幸あらせられた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
この人は至って愚人だったよう『常山紀談』など普通書き立て居るが、随分理窟の立っていた人だったのは塩谷宕陰の『照代記』その改易の条を見ても判る、曰く〈ここにおいて忠広荘内に百石を給い(その子)光正を飛騨に幽しし以てこれを折る。
— 虎に関する史話と伝説民俗 『十二支考』 青空文庫
その居宅は田鶴見子爵の邸内に在りて、裏門より出入すべく、館の側面を負ひて、横長に三百坪ばかりを木槿垣に取廻して、昔形気の内に幽しげに造成したる二階建なり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
」しかも平氏が堂上の卿相四十三人を陟罰して、後白河法皇を鳥羽殿に幽し奉り、新院に迫りて其外孫たる三歳の皇子を冊立せし横暴は、更に、其亡滅の日をして早からしめたり。
— 芥川龍之介 『木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)』 青空文庫
和学講談所(主として有職故実を調査する所)の塙次郎という学者はひそかに安藤対馬の命を奉じて北条氏廃帝の旧例を調査しているが、幕府方には尊王攘夷説の根源を断つために京都の主上を幽し奉ろうとする大きな野心がある。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
その際小櫻姫がいかなる行動に出たかは、歴史や口碑の上ではあまり明らかでないが、彼女自身の通信によれば、落城後間もなく病にかかり、油壺の南岸、浜磯の仮寓でさびしく帰幽したらしいのであります。
— 浅野和三郎 『霊界通信 小桜姫物語』 青空文庫
むろん例外はありましょうが、現在では数百年前乃至千|年二千|年前に帰幽した人霊が、守護霊として主に働いているように見受けられます。
— 浅野和三郎 『霊界通信 小桜姫物語』 青空文庫
作例 · 標準
古文書には、かそけき文字で書かれた一節があった。
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その香りは、かそけく漂い、懐かしい記憶を呼び覚ました。
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風の音にかそけき囁きが混じっているように聞こえた。
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彼女の表情にかそけき陰があった。
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