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長髯

ちょうぜん
名詞
1
標準
文例 · 用例
舞台では、長髯の豪傑が四つの金襴の旗を背中にさして長槍を振りまわし、また、半裸体の男が幾人もそろって一斉にとんぼ返りを打ったり、小旦が出て来て何か甲高い声で歌うかと思うと、赤い薄絹を身にまとった道化役が、舞台の柱にしばられて胡麻塩髯の老人に鞭でひっぱたかれたりするのだ。
太宰治 惜別 青空文庫
現に私が話を聞いた青森縣東津輕郡の郡農會の技手は、自慢の長髯をしごきつつ、喜色滿面に溢れて、平年作の二割増收の豫想を壇上から繰返してゐた。
島木健作 東旭川村にて 青空文庫
私もまたこの小さな国の老侯のやうに敬はれ、侍かれ、慕はれて、余生を読書三昧に耽つた外祖|業隆翁の真白な長髯の家で生れて――明治十八年一月二十五日――然る後古めかしい黒塗の駕籠に乗つて、まだ若い母上と柳河に帰つた。
北原白秋 水郷柳河 青空文庫
貪食と強力とをもって聞こえる※髯鮎子を訪ねたとき、色あくまで黒く、逞しげな、この鯰の妖怪は、長髯をしごきながら「遠き慮のみすれば、必ず近き憂いあり。
中島敦 悟浄出世 青空文庫
……その吾輩が長髯を扱きながら名刺を突き出すと、ハガキ位の金縁を取った厚紙に……日本帝国政府視察官、医典博士、勲三等、轟雷雄……と一号活字で印刷してある。
夢野久作 爆弾太平記 青空文庫
鬚だらけの脱獄囚みたいな友吉おやじと、鶴髪童顔、長髯の神仙じみた老ドクトルが、グラグラ煮立った味噌汁と虎鰒の鉢を真中に、片肌脱ぎか何かの差向いで、熱燗のコップを交換しているじゃないか。
夢野久作 爆弾太平記 青空文庫
私もまたこの小さな國の老侯のやうに敬はれ、侍かれ、慕はれて、餘生を讀書三昧に耽つた外祖|業隆翁の眞白な長髯のなつかしさを忘るる事が出來ぬ。
北原白秋 思ひ出 抒情小曲集 青空文庫
白い頭髪は肩まで垂れ雪を瞞く長髯は胸を越して腹まで達し葛の衣裳に袖無羽織、所謂童顔とでも云うのでしょう棗のような茶褐色の顔色。
国枝史郎 天草四郎の妖術 青空文庫