立ち初める
たちそめる
動詞
標準
文例 · 用例
七月になりかかると、秋風が立ち初める、とギバの難は影を隠してしまう。
— 寺田寅彦 『怪異考』 青空文庫
伊織は京都でその年の夏を無事に勤めたが、秋風の立ち初める頃、或る日寺町通の刀剣商の店で、質流れだと云う好い古刀を見出した。
— 森鴎外 『じいさんばあさん』 青空文庫
伊織は京都で其年の夏を無事に勤めたが、秋風の立ち初める頃、或る日寺町通の刀劍商の店で、質流れだと云ふ好い古刀を見出した。
— 森鴎外 『ぢいさんばあさん』 青空文庫
秋風が立ち初める頃尾鰭の長い方が死んでから残った一匹もめっきり元気がなくなって、この節では硝子に円い口をつけたままじっとしていることが多い。
— 矢田津世子 『神楽坂』 青空文庫
何処へ行こうかと避暑の行先を思案している中、土用半には早くも秋風が立ち初める。
— 永井荷風 『夏の町』 青空文庫
間もなく入梅があけて夏になり、土用の半からそろそろ秋風の立ち初める頃まで、清岡は何一つ疑う所もなく、心から君江に愛されているものとばかり思込んでいた。
— 永井荷風 『つゆのあとさき』 青空文庫
八月になつて、少し凉風が立ち初めると、人間共も本心を取戻したか、御用はびつくりするほど暇。
— 晒し場は招く 『錢形平次捕物控』 青空文庫
結納、日どり、すらすらと運んで、婚礼は、すず風の立ち初める、秋の九月と決まった。
— 吉川英治 『松のや露八』 青空文庫