溢れ落ちる
あふれおちる
動詞
標準
文例 · 用例
米良の堪えていた涙が溢れ落ちる。
— 吉行エイスケ 『地図に出てくる男女』 青空文庫
二人は尚ほ暫く黙つてゐたが、やがて女は涙を目に一杯ためて、二三滴膝の上に溢れ落ちるのをそのまゝにして――しかも強ひて笑つて、「だつてしようがないんですもの……御免なさい!
— 田山録弥 『時子』 青空文庫
枕に聞いたそれらしい響は雨だれの樋から溢れ落ちるのであったのかも知れぬ。
— 永井荷風 『雨瀟瀟』 青空文庫
その途切れ途切れの胸から絞出すやうな言葉、啜り泣く涙の響は猶降り止まぬ雨の木の葉に滴り屋根を打ち、軒の樋から溢れ落ちる水の音と一ツになつてしめやかな夜の澄み渡る燈火の光に悲痛な音樂を奏する。
— 永井壯吉 『歡樂』 青空文庫
雨は相変らず強く降っている、どこか樋の傷んでいる処があるのだろう、裏手のほうでざあざあと溢れ落ちる水音が聞えた。
— 山本周五郎 『金五十両』 青空文庫
しかし、沢庵の影が、彼方の辻の横へかくれると城太郎の眼には、涙がせりあがって来て、それがぼろぼろと溢れ落ちるまで、ぼんやり佇んでいた。
— 風の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
……』ここで彼はハンカチをだして、あふれ落ちる涙を押えたほどであった。
— または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊 『死せる魂』 青空文庫
」と気をとりなおしとりなおしても、パトラッシュとたったふたりでいる時など、止めようもない涙があふれ落ちるのでした。
— A DOG OF FLANDERS 『フランダースの犬』 青空文庫