近因
きんいん
名詞
標準
immediate cause
文例 · 用例
『ホトトギス』とは元から関係があったが、それが近因で、私が日本に帰った時(正岡はもう死んで居た)編輯者の虚子から何か書いて呉れないかと嘱まれたので、始めて『吾輩は猫である』というのを書いた。
— 夏目漱石 『処女作追懐談』 青空文庫
決心の近因になつた不正裁判は、賞罰明ならずと云ふ部類に入れて、十太夫を弾劾することに重きを置かず、專ら忠之の反省を求めることにした。
— 森鴎外 『栗山大膳』 青空文庫
それ以外に幾多の遠因も近因もあろうが、畢竟するに最後が極めて悲惨であったのは自ら求めて世間や友人の同情を薄くしたためである。
— 内田魯庵 『美妙斎美妙』 青空文庫
歩きながら考えると、いまさき庭のうちで、野々宮と美禰子が話していた談柄が近因である。
— 夏目漱石 『三四郎』 青空文庫
更に、その夜、発作をおこす近因として殺伐な映画を十分に見せた。
— 浜尾四郎 『夢の殺人』 青空文庫
後に大御所とよばれ、徳川幕府をひへいさせた近因だともよばれたほど、派手な時世だった。
— 長谷川時雨 『西川小りん』 青空文庫
これらは皆、事の近因として、さらにこの近因を生じたる根本の大原因に溯るに非ざれば、事の得失を断ずるに足らざるを信ずるものなり。
— 福沢諭吉 『徳育如何』 青空文庫
劇痛の患者を救わんとするには「モルヒネ」の皮下注射方もっとも適当にして、医師も常にこの方に依頼して一時の急に応ずといえども、その劇痛のよって来る所の原因を求めたらば、あるいは全身の貧血、神経の過敏をいたし、時候寒暑等の近因に誘われて、とみに神経痛を発したるものもあらん。
— 福沢諭吉 『政事と教育と分離すべし』 青空文庫