袴腰
はかまごし
名詞
標準
文例 · 用例
世話人一同、袴腰を捻返して狼狽えたが、お珊が思うままな金子の力で、身代りの婦が急に立った。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
袴腰も、御自分で当て、帽子も、御自分で取っておかぶりなさい。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
この人が、塩瀬の服紗に包んだ一管の横笛を袴腰に帯びていた。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
」 袴腰に両腕を張って覗込む、運八翁に、再び蒼白い顔を振上げた。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
袴をはき付けぬ人が、袴をはいて袴腰を前にしたといふ笑話がある、袴の事は誰でも心得てゐて、誰でも当を得た接し方をするものであるが、さてその他の物に接すると、仲々さうは不可ぬもので、どうも帽子を逆さに冠つたり、袴を逆にはいたりするやうな過失に陥り勝ちなものである。
— 幸田露伴 『些細なやうで重大な事』 青空文庫
泥だらけの手足を躍らして小犬のように跳ね上ると、玄関の式台へ泥足のまま駈け上って、栗野博士を突除けながら、澄夫の袴腰にシッカリと抱き付いた。
— 夢野久作 『笑う唖女』 青空文庫
「ええ、ごゆっくり」 お蝶はニッコとしながら、袴腰の若衆すがたで、何もかも打解けた世話女房のように、あたりの物を片づけます。
— 直木三十五 『大衆文芸作法』 青空文庫
一一 背後から、閃き落ちる白刃――鉄壁みじんと、斬りつけて来るのを、振向きもせず、体を少しばかり捻った雪之丞、相手がかわされて、空を斬りながら、つンのめって、蔽いかぶさるようになった所を、その若者の袴腰に左手をかけて、軽く突くと、「アッ!
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫