檣帆
しょうはん
名詞
標準
文例 · 用例
仰げば、右に左に弧をえがく上檣帆のあいだに、うつくしい南の眼、赤十字星のまたたき。
— 小栗虫太郎 『「太平洋漏水孔」漂流記』 青空文庫
紅と白の派手なだんだら縞を染め出した大檣帆の裾は長い檣柱の後側から飛び出したトラベラーを滑って、恰度カーテンを拡げたように展ぜられ、船首の三角帆と風流に対して同じ角度を保たせながらロープで止められたままになっている。
— 大阪圭吉 『死の快走船』 青空文庫
「君、警察官が来るまでは、余り現場に触れないほうがいいんだよ」 けれども彼は私の忠告などには耳もかさず、大童になってあれこれと船中を物色していたが、やがて檣柱の側へ近附くと、大檣帆の裾の一部を指でこすりながら、「血が着いているよ。
— 大阪圭吉 『死の快走船』 青空文庫
大きな大檣帆は暫く音を立ててはためいていたが、やがてその位置を風向きに調節されると、白鮫号は静かに走り出した。
— 大阪圭吉 『死の快走船』 青空文庫
おれは先刻君も見たラ・ベル・フィユという二檣帆船の運転士だがね、姓名は……聞きたければ教えてもいいが」「こうお交際を願ったからには、聞かしてもらいたいね」「おれはモッフっていうんだが、君は?
— モーリス・ルヴェル Maurice Level 『ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海』 青空文庫
私はトゥリニダッド(註二三)の沖であいつの船の中檣帆をこの眼で見たことがあるが、私の乗っていた船の臆病船長の大馬鹿野郎めが引返したのだ、――引返したんだよ、君、スペイン港(註二四)へな。
— 宝島 『宝島』 青空文庫
見上げると、月が昇っていて、後檣の頂を銀色にし、前檣帆の前縁に白く輝いているのだった。
— 宝島 『宝島』 青空文庫
それで、私はたちまちに樽の外へひらりと出て、前檣帆の後に隠れ、船尾の方へくるりと向を変えて、広い甲板のところへ出て来ると、ちょうど折よく、風上船首へと走ってゆくハンターとリヴジー先生とに一緒になった。
— 宝島 『宝島』 青空文庫