悉皆屋
しっかいや
名詞
標準
文例 · 用例
そこで色々と手を尽して探しているうちにヤットの事で、当時、福岡の簀子町という処に京染悉皆屋の小店を開いていた渡り者のGという三十男を引っ張って来て間に合わせる事になったが、そんな経緯のために、一時絶えかけていた呉家の血統に絡まる伝説が、八釜しく復活していたところだったので研究上、非常に便宜であった。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
……すると又都合のいい事には、T子の姉婿のGという京染|悉皆屋が、仕様のないニヤケ男の好色野郎で、婿入りをすると間もなく、義妹のT子に云い寄りはじめて、恐ろしく執拗いので困っている矢先だったから、Wに誘いをかけられたT子は二つ返事で家を飛出して、福岡でWとコッソリ同棲する事になった。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
呉服屋も来る、悉皆屋も来る。
— 河上肇 『貧乏物語』 青空文庫
それに、ずっと以前に女から一人の叔父は油の小路とかで悉皆屋とか糊屋とかをしていると聞いていたように思う。
— 近松秋江 『狂乱』 青空文庫
これから油の小路に往って、悉皆屋と糊屋とを一軒一軒|探ねて歩いてみよう。
— 近松秋江 『狂乱』 青空文庫
そして三条四条を中心にして、その上下を幾回となく往きつ戻りつして一々両側を歩いてみたが、もとより雲を掴むような話で、悉皆屋と糊屋とは幾らもあるが、手がかりのあろうはずもない。
— 近松秋江 『狂乱』 青空文庫