振り返り
ふりかえり
名詞
標準
文例 · 用例
――厭やに默りこんでしまつたぢやないか……」と、一町あまりも歩いたあと、水島君は不意に私を振り返りながら詞をかけた。
— 南部修太郎 『ハルピンの一夜』 青空文庫
そして、左手の壁の中程にある扉の方へ歩いて行つたかと思ふと、ひよいと私を振り返りながら、そのまま隣の部屋へ姿を消してしまつた。
— 南部修太郎 『ハルピンの一夜』 青空文庫
そして、そのままそつと腰掛に坐り直して自分を振り返り、詞もなくぽかんとした表情で並んでゐる政黨屋の三人の顏をちらと見返したが、刹那の思掛ない發見に對する驚きが消えた時、私はぷつと吹き出したいやうな氣持になつた。
— 南部修太郎 『女盗』 青空文庫
僕は流石に氣がさしたので、新開の鐵橋の方へ歩きかけたんだが、そのまま樹蔭から女の後姿を見てゐると、やつぱり此方を振り返り振り返りするんだ。
— 南部修太郎 『S中尉の話』 青空文庫
何事や起こりたると、見物は白糸の踵より、どろどろと乱れ出ずる喧擾に、くだんの男は振り返りぬ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
貞子は、あわてそそくさと降りて、三浦君のほうを振り返り振り返り、それでも姉の後に附いて行った。
— 太宰治 『律子と貞子』 青空文庫
すたすた二、三丁歩いて、うしろを振り返り、家人が誰もついて来ないという事を見とどけてから、懐中より鳥打帽をひょいと取出して、あみだにかぶるのである。
— 太宰治 『ろまん燈籠』 青空文庫
」 雪枝を振り切って二三歩、尚も縋り付くのを足蹴にし、 老人土間へ飛び下りて、 雪枝を振り返り、T「此村大吉と 刺し違える!
— 山中貞雄 『中村仲蔵』 青空文庫