走馬
そうま
名詞
標準
文例 · 用例
その頃ろ正岡君が歌に関する議論の変化は劇いもので走馬灯のようでした、昨と今とは全然違うという調子で、議論主張は変るのが当然である、終始一貫などと詰らぬことだというて居られた。
— 伊藤左千夫 『子規と和歌』 青空文庫
過去が、走馬燈のように胸の中で廻った。
— 太宰治 『東京八景』 青空文庫
走馬燈のように、色々の顔が、色々の失敗の歴史絵巻が、宙に展開しているのであろう。
— 太宰治 『座興に非ず』 青空文庫
これをば心付き候時は、ハヤその物体の頭は二、三十|間わが眼の前を走り去り候て、いまはその胴中あたり連りに進行いたしをり候が、あたかも凧の糸を繰出す如く、走馬燈籠の間断なきやう俄に果つべくも見え申さず。
— 泉鏡花 『凱旋祭』 青空文庫
その印刷所から逃げ出してからの私の生活たるや、お話にも何にもならぬていたらくのものでございまして、いま思い出しても、まるで地獄の走馬燈を呆然と眺めているような気持が致しまして、よくまあ発狂もせず餓え死もせず、こうして生き伸びて来たものだと我ながら驚歎の念を禁じ得ないものがございます。
— 太宰治 『男女同権』 青空文庫
死ぬる直前の心には様様の花の像が走馬燈のようにくるくるまわって、にぎやかなものの由であるが、けれども私は、さっぱりだめであった。
— 太宰治 『狂言の神』 青空文庫
罪と罰をアントとして考えたドストの青みどろ、腐った池、乱麻の奥底の、……ああ、わかりかけた、いや、まだ、……などと頭脳に走馬燈がくるくる廻っていた時に、「おい!
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
走馬燈一 四条通りの夜更けの底を雨が敲いていた。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫