某年
ぼうねん
名詞
標準
文例 · 用例
しかし、よく考えてみると、某年某月某日某所で行なわれた某の銅像除幕式を他のある日ある場所で行なわれた他の除幕式と明白に弁別しようとするときに最も著しき目標となるものは何であるかというと、かえって上記のごとき零細|些末な現象が意外にも重大な役目をつとめることを発見して驚く場合があるであろう。
— 寺田寅彦 『ニュース映画と新聞記事』 青空文庫
されば渠が巨多の金銭を浪費して、父兄に義絶せられし後、今の情婦|某年紀三十、名を艶と謂うなる、豪商の寡婦に思われて、その家に入浸り、不義の快楽を貪りしが、一月こそ可けれ、二月こそ可けれ、三月四月に及びては、精神|※騰として常に酔るが如く、身躰も太く衰弱しつ、元気次第に消耗せり。
— 泉鏡花 『黒壁』 青空文庫
しかし回顧して見るとたしかに某年某月の午の刻か、寅の時に、母の胎内から出産しているに違いない。
— 夏目漱石 『創作家の態度』 青空文庫
さて誤謬は誤謬として、記載の全体を観察すれば、徳川時代の某年某月の現在人物等を断面的に知るには、これに優る史料はない。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
某年に県会が畢って、県吏と議員とが懇親の宴を開いた。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
」 霞亭の越後に寓したのが、某年の春夏であつたことは、此凹巷の語に由つて知られる。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
そして某年は必ず文化四年でなくてはならない。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
某年の歳暮の宴に、客の未だ到らざる前、榛軒は料理人上原全八郎と共に浴した。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫