当千
とうせん
名詞
標準
文例 · 用例
一騎当千の吾々、喧嘩では五、六人相手にしても負けない元気でいるが、なにしろ向うの連中はダイナマイトを持っているから、空心したことは出来ぬ。
— 井沢衣水 『本州横断 痛快徒歩旅行』 青空文庫
これを見ると氏郷に随って来た蒲生源左衛門、蒲生忠左衛門、蒲生四郎兵衛、町野左近将監、新参ではあるが名うての荒武者佐久間玄蕃が弟と聞えた佐久間久右衛門、同苗舎弟源六、綿利八右衛門など一人当千の勇士の面々、火の中にもあれ水の中にもあれ、死出|三途主従一緒と思詰めたる者共が堪り兼ねてツツと躍り出た。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
臣が辺境に養うところの兵は皆|荊楚の一騎当千の勇士なれば、願わくは彼らの一隊を率いて討って出で、側面から匈奴の軍を牽制したいという陵の嘆願には、武帝も頷くところがあった。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
幸にして苦沙弥先生門下の猫児となって朝夕虎皮の前に侍べるので先生は無論の事迷亭、寒月|乃至東風などと云う広い東京にさえあまり例のない一騎当千の豪傑連の挙止動作を寝ながら拝見するのは吾輩にとって千載一遇の光栄である。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
いずれも一騎当千の猛将と見えて、丹波の国は笹山から昨夜着し立てでござると云わぬばかりに、黒く逞しく筋肉が発達している。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
それに正副の総督を護って来る人たちがいずれ一騎当千の豪傑ぞろいであるとしても、おそらく中部地方の事情に暗い。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
これは京都でなく江戸をさして、あの過去三世紀にわたる文明と風俗と流行との中心とも言うべき大都会の空をめがけて、いずれも遠い西海の果てから進出して来た一騎当千の豪傑ぞろいかと見える。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
燃えるような冒険心を抱いて江戸の征服を夢み、遠く西海の果てから進出して来た一騎当千の豪傑連ですら、追い追いの粋な風に吹かれては、都の女の俘虜となるものも多かった。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫