怡
怡
名詞
標準
文例 · 用例
勿論それは余りお菓子の欲しくない人が駄菓子の方が寧ろ美味い、といふ時のやうなふうにして発生した通念と見えるが、それにしても、一応の由来はあると思へるので、一寸その事に就いて云つてみれば、 西洋人の方が、我々よりも尠くも形の上では楽天的である、従つて即興的であるよりも構成を怡しむ習性を一層持つてゐる。
— 中原中也 『詩と其の伝統』 青空文庫
芸術は扨措いて、生活の中ででもそのやうな手合は困るのであつて、それらの人が朝目覚めた時の無念無想、即ち瞑想状態が、精神にも物質にも有益であつて、其処にこそ現実があり欣怡のあることに想到されるやう、私一介の馬鹿は希つてゐる。
— 中原中也 『詩に関する話』 青空文庫
人間のあの、最後の円転性、個にして全てなる無意識に持続する欣怡の情が彼にはあり得ぬ。
— 中原中也 『河上に呈する詩論』 青空文庫
理念を指示、或ひは暗示するだけではない、その理念を対者に怡しますものである。
— 中原中也 『新短歌に就いて』 青空文庫
感情といふ語の内容も色々であらうが、「独り居て怡しむ」底の感情、対人的に発露するに非ざる、そこはかとなき欣怡の情である。
— 中原中也 『感情喪失時代』 青空文庫
それはさて、人が皆その幼時に、欣怡の情を有することは確かである。
— 中原中也 『感情喪失時代』 青空文庫
鋭い悲哀を和らげ、ほかほかと心を怡します快感は、同時に重っ苦しい不快感である。
— 梶井基次郎 『冬の蠅』 青空文庫
日なたのなかの彼らは永久に彼らの怡しみを見棄てない。
— 梶井基次郎 『冬の蠅』 青空文庫