鰻屋
うなぎや
名詞
標準
eel restaurant
文例 · 用例
引切の無い人通りも、およそ途中で立停って、芸者の形を見物するのは、鰻屋の前に脂気を嗅ぐ、奥州のお婆さんと同じ恥辱だ、という心得から、誰も知らぬ顔で行違う。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
鰻屋の神田川――今にもその頃にも、まるで知己はありませんが、あすこの前を向うへ抜けて、大通りを突切ろうとすると、あの黒い雲が、聖堂の森の方へと馳ると思うと、頭の上にかぶさって、上野へ旋風を捲きながら、灰を流すように降って来ました。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
その穴釣りの鰻屋も、この柳のかげに寄って来て甘酒などを飲んでいることもあった。
— 岡本綺堂 『御堀端三題』 青空文庫
それは松島と目と鼻の間の駒込に、古くから大きな店を構えている石屋で、二月か三月に一度くらい、船で観音|参詣に来て、そのたびに人目につかぬ裏道にある鰻屋などで彼女を呼び、帰りには小遣をおいて行った。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
鰻屋の前を通って、好い匂がしたと云っても、直ぐに隣の茶漬屋へ駈込みの、箸を持ちながら嗅ぐ事をしない以上は、速断して、伊勢屋だとは言憎い。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
こゝではじめて、わたくしは、事の仕儀の重大なのを漸く悟りまして、「じゃ考えるわ」と言って、いろ/\と考えた末、及ばぬ智慧を絞って芳町まで出て、そこの鰻屋に入りました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
母が始終、うちへ来る若旦那たちに、ランデヴーには鰻屋が一ばんいゝ。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
葛岡は食べながら、「下町の食いものはうまいね」 と言いましたが、鰻屋の料理なぞはよく食べ方を知らない様子なので、わたくしは葛岡に食品の説明をしてやりながら、きも吸いの椀の中に入っている縁起鉤に気をつけさせ、それを取出させて襟にかけることを教えました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
作例 · 標準
例句