群がり立つ
むらがりたつ
動詞
標準
文例 · 用例
これ見よやつ」 と叫ぶとひとしく名作、直江志津の大小の斬れ味鮮やかに、群がり立つたる槍襖を戞矢々々と斬り払ひ、手向ふ捕手役人を当るに任せて擲り斬り、或は海へ逐ひ込み、又は竹|矢来へ突込みつゝ、海水を朱に染めて闘へば、四面数万の見物人は鯨波を作つて動揺めき渡る。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
また白昼、障子の骨もしくは行灯、ランプ、燭台等の内外を熟視するときは、細かなる塵毛の群がり立つを見る。
— 井上円了 『妖怪学』 青空文庫
財産――繁栄――官能と知性と二つながらの大なる満足――才能と教養と権力との群がり立つ生活――だが、それがきたときには、喜びを頒つ家族のものは一人としていないのだった。
— ELIZABETH AND ESSEX 『エリザベスとエセックス』 青空文庫
マケドニアの一隊の武士がヨーロッパ平民の群がり立つ軍勢を突破するようなことも、起こるかもしれないのだ。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
疑いというものの癖として、一度そうしてきざしが現れますと、丁度夕立雲が広がる時の様な、恐しい早さでもって、相手の一挙一動、どんな微細な点までも、それが私の心一杯に、深い深い疑惑の雲となって、群がり立つのでございます。
— 江戸川乱歩 『人でなしの恋』 青空文庫
織田伊勢守のように、たちまち義龍と組んで信長の城下を焼き払う者もあり、やがて一時に味方の中から敵がむらがり立つ形勢が近づいていた。
— 坂口安吾 『梟雄』 青空文庫
麦の黄熟したさま、里川のたぷたぷと新芽をたゝえて流れてゐるさま、杜の上に晴れやかに簇がり立つた雲のさま、すべて心を惹かないものはない。
— 田山録弥 『大阪で』 青空文庫