徇
徇
名詞
標準
文例 · 用例
愛に因って醜を知らずの句は、知己の恩に感じて吾身を世に徇うるを言えるもの、亦善く標置すというべし。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
って徇れて、一つ、売りに行って見べえかと思ってるのだけっとも。
— 佐左木俊郎 『黒い地帯』 青空文庫
私情に徇する餘り、公義を忘れるからである。
— 桑原隲藏 『支那の孝道殊に法律上より觀たる支那の孝道』 青空文庫
西洋の學者で、儒教の弊を論ずる者は、よくこの孟子の答辯を證據に擧げるが(Selby ; As the Chinese see Us. pp. 85-86)、如何にも孟子の答辯は、私情に徇して公儀を忘れた嫌を免れぬ(20)。
— 桑原隲藏 『支那の孝道殊に法律上より觀たる支那の孝道』 青空文庫
徇は、したがふと訓むが、となふとも、訓み伝へられて来てゐる。
— 折口信夫 『呪詞及び祝詞』 青空文庫
かたると対照的になつてゐる方面のあるとなふといふ呪詞に関した用語も、実は徇へる義だ。
— ――その基礎論―― 『日本文学の発生』 青空文庫
其人は未だ三十|歳に足らぬ若い男で、頬骨の廣い、眼の小さい、ブルネト、其祖先は外國人で有つたかのやうにも見える、彼が町に來た時は、錢と云つたら一|文もなく、小さい鞄只一個と、下女と徇れてゐた醜女計りを伴ふて來たので、而して此女には乳呑兒が有つた。
— アントン・チエホフ Anton Chekhov 『六號室』 青空文庫
その人はまだ三十|歳に足らぬ若い男で、頬骨の広い、眼の小さい、ブルネト、その祖先は外国人であったかのようにも見える、彼が町に来た時は、銭と云ったら一|文もなく、小さい鞄只一個と、下女と徇れていた醜女ばかりを伴うて来たので、そうしてこの女には乳呑児があった。
— アントン・チエホフ Anton Chekhov 『六号室』 青空文庫