裏葉
うらば
名詞
標準
文例 · 用例
七月の炎天も、この谷間までは迫って来ないと見えて、白剥山を一つ超えて、東俣の谷へ来ると、未だ若葉、青葉の新緑が、生々しかったが、ここまで溯ると、濶葉、細葉は、透明を含んだ、黄の克った、明るみのある嫩い緑で、霧の雫にプラチナのように光った裏葉を翻えしている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
人々もそれを気付くらしく、わたくしを顧る顧り見方に、花ならば饐え腐った蕾の滓、葉ならば霜に朽ち佗びた葛の裏葉の、返して春に、よも逢う女ではあるまいと、不憫がる眼の眇め方をするのはあまり面白いものではありません。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
清葉とお孝の名を記にした納手拭の、一つは白く、一つは青く、春風ながら秋の野に葛の裏葉の飜る、寂しき色に出でて戦ぐを見つつ、去るに忍びぬ風情であった。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
秋に収穫すべき作物は裏葉が片端から黄色に変った。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
まだ黄色い下葉や裏葉、あれも程なく枯れるであらう。
— 北原白秋 『観相の秋』 青空文庫
櫟や楢や雜木や凡てが節制を失つて悉く裏葉も肌膚も隱す隙がなくざあつと吹かれて只騷いだ。
— 長塚節 『土』 青空文庫
秋風は桑の裏葉を白くひるがえして、畑は一面の虫の声に占領されていた。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
その樹木の中には欅があり、向う隣の二階家の屋根の上に見える一本の白楊は、葛の葉のような白い裏葉を見せていた。
— 田中貢太郎 『変災序記』 青空文庫