撚
撚
名詞
標準
文例 · 用例
私は自分が子供の時に九段上の広場で見た、手拭を撚ってこしらえた蛇を地上において、それが今に本当の蛇になると云って、その周囲に円を描いて歩きながら、笛を吹いて往来の暇人を釣っていた妙な男の事を思い出した。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫
例えば『諸国咄』では義経やその従者の悪口棚卸しに人の臍を撚り、『一代女』には自堕落女のさまざまの暴露があり、『一代男』には美女のあら捜しがある。
— 寺田寅彦 『西鶴と科学』 青空文庫
この曖昧さ加減を最も明らかに吾人に示すのは綿糸の撚り糸である。
— 寺田寅彦 『方則について』 青空文庫
一条の撚り糸を与えられてその長さを精密に測ろうと企てた人は、ここに述べた困難を切実に味わう事が出来ようと思う。
— 寺田寅彦 『方則について』 青空文庫
撚り糸も針金もあらゆる弾性体|否形状大小を備えた物体は皆同様である。
— 寺田寅彦 『方則について』 青空文庫
――大分足立が撚をかけてるらしいですが……」 「ふむ。
— 南部修太郎 『女盗』 青空文庫
「なるほどこれは壅ってる」「それで吸うにはよっぽど力が要るのだ」「ばかにしないねえ」 美人は紙縷を撚りて、煙管を通し、溝泥のごとき脂に面を皺めて、「こら!
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
汚い臓物で張り切っていた腹は紙撚のように痩せ細っている。
— 梶井基次郎 『冬の蠅』 青空文庫