銀器
ぎんき
名詞
標準
silver utensil
文例 · 用例
やはり人造でもマーブルか、乳色ガラスのテーブルの上に銀器が光っていて、一輪のカーネーションでもにおっていて、そうしてビュッフェにも銀とガラスが星空のようにきらめき、夏なら電扇が頭上にうなり、冬ならストーヴがほのかにほてっていなければ正常のコーヒーの味は出ないものらしい。
— 寺田寅彦 『コーヒー哲学序説』 青空文庫
銀器の光、ガラス器のきらめき、一輪ざしの草花、それに蜜蜂のうなりに似たファンの楽音、ちょうどそれは「フォーヌの午後」に表わされた心持ちである。
— 寺田寅彦 『備忘録』 青空文庫
銀器も慎しんでその重量を隠している。
— 岡本かの子 『食魔に贈る』 青空文庫
「そのトーストを一枚、苺のジャムを塗ってね」 男の忠実に働く手とカフスが六つばかりの銀器に映る。
— 岡本かの子 『百喩経』 青空文庫
「こんどは、マルマレードを塗って一枚ね」 承知した男の忠実さとエリザベス朝式の銀器に手とカフスを映すことは前とちっとも変らない。
— 岡本かの子 『百喩経』 青空文庫
嘗つてユーゴのミゼレハル、銀器を盜む一條を讀みし時に其精緻に驚きし事ありしが、この書載するところ恐らく彼の倫にあらざるべし。
— 北村透谷 『罪と罰(内田不知庵譯)』 青空文庫
恭しくわれに銀器の香煙を勧むるに、弁舌滑らかにして甘脂の如し。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
(昭和五年七月、渋柿) * 純白な卓布の上に、規則正しく並べられた銀器のいろいろ、切り子ガラスの花瓶に投げ込まれた紅白のカーネーション、皿の上のトマトの紅とサラドの緑、頭上に回転する扇風機の羽ばたき、高い窓を飾る涼しげなカーテン。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫