御蔭
みかげ
名詞
標準
文例 · 用例
そしてすべての人心の所得をその真の源まで追跡する事が出来たら、この世界がいちばん多くの御蔭を蒙っているのは、最も独創力のある人々であった事を発見するだろう。
— 寺田寅彦 『浅草紙』 青空文庫
一定の位置並びに寒暖計の示す温度において測った金属棒の長さは、不可測的の雑多な微細な原因のために、種々異なる価を与えても多数の測定の平均はある程度まで一致すると考えられるのはやはりこの偶然の御蔭である。
— 寺田寅彦 『方則について』 青空文庫
あらゆる直接経験から来る常識の幻影に惑わされずに純理の道筋を踏んだのは、数学という器械の御蔭であるとしても、全く抽象的な数学の枠に万象の実世界を寸分の隙間もなく切りはめた鮮やかな手際は物理学者としてその非凡なえらさによるものと考えなければならない。
— 寺田寅彦 『アインシュタイン』 青空文庫
全く御蔭様でござりまする。
— 泉鏡花 『湯女の魂』 青空文庫
秩父の宮様が弘前の八師団に御勤務あそばされていらつしやつた折に、かしこくも、この農場にひとかたならず御助勢下されたとか、講堂もその御蔭で、地方稀に見る荘厳の建物になつて、その他、作業場あり、家畜小屋あり、肥料蓄積所、寄宿舎、私は、ただ、眼を丸くして驚くばかりであつた。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
フレデリック大王伝の御蔭と見える。
— 夏目漱石 『カーライル博物館』 青空文庫
御蔭でこの通り刃が一分ばかりかけた」とやけに轆轤を転ばす、シュシュシュと鳴る間から火花がピチピチと出る。
— 夏目漱石 『倫敦塔』 青空文庫
我々日本人が仏蘭西の自然派はこう発達したの、独乙の自然派は今こんな具合だのという事を承知したのは、全くこの歴史研究の御蔭で至極結構な事と思います。
— 夏目漱石 『創作家の態度』 青空文庫