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胴裏

どううら
名詞
1
標準
文例 · 用例
さて見れば、鼠縮緬の裾廻、二枚袷の下着と覚しく、薄兼房よろけ縞のお召縮緬、胴抜は絞つたやうな緋の竜巻、霜に夕日の色|染めたる、胴裏の紅冷く飜つて、引けば切れさうに振が開いて、媼が若き時の名残とは見えず、当世の色あざやかに、今脱いだかと媚かしい。
泉鏡花 二世の契 青空文庫
着物の胴裏にでもしてくれって、羽二重を一反くれたよ。
徳田秋声 縮図 青空文庫
かなり目方のある斜子であったが、絵甲斐機の胴裏が如何にも貧弱で見窄らしかったので、「この胴裏じゃ表が泣く、最少し気張れば宜かった」というと「何故、昔から羽織の裏は甲斐機に定ってるじゃないか、」と澄ました顔をしていた。
内田魯庵 二葉亭余談 青空文庫
斜子の羽織の胴裏が絵甲斐機じゃア郡役所の書記か小学校の先生|染みていて、待合入りをする旦那の估券に触る。
内田魯庵 二葉亭余談 青空文庫
そんなら羽織の胴裏にでも描いてもらいましょうと、楢屋の主人は早速|白羽二重を取寄せて頼んだ。
――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド―― 淡島椿岳 青空文庫
椿岳は常から弱輩のくせに通人顔する楢屋が気に入らなかった乎、あるいは羽織の胴裏というのが癪に触った乎して、例の泥絵具で一気呵成に地獄変相の図を描いた。
――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド―― 淡島椿岳 青空文庫
頗る見事な出来だったので楢屋の主人も大に喜んで、早速この画を胴裏として羽織を仕立てて着ると、故意乎、偶然乎、膠が利かなかったと見えて、絵具がベッタリ着物に附いてしまった。
――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド―― 淡島椿岳 青空文庫
一体何人の、いや、何十人の「相当以上の資財ある紳士」が、この「美貌の寡婦」に、「財産と人生」を、つまり、「上衣の胴裏に縫いつけた紙幣と生命」を、「併合」されて終ったのか――惨殺された男の数になると、確かなことは判っていない。
牧逸馬 斧を持った夫人の像 青空文庫