気の薬
きのくすり
名詞
標準
文例 · 用例
そしてそれを村の焼場で焼いたとき、寺の和尚さんがついていて、「人間の脳味噌の黒焼きはこの病気の薬だから、あなたも人助けだからこの黒焼きを持っていて、もしこの病気で悪い人に会ったら頒けてあげなさい」 そう言って自分でそれを取り出してくれたというのであった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
ところが突然鉄也さんが鉄砲腹をやって死んでしまった、廃人は廃人であるがやはり独り子に相違ない、これまでに狂気のなおるという薬はなんでも試みて、うの字峠の谷で打った岩烏も畢竟は狂気の薬であったそうである。
— 国木田独歩 『鹿狩り』 青空文庫
……「根気の薬じゃ。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
但し脚気の薬をのんだら、たった三日で、もとのペシャンコになってしまった。
— 坂口安吾 『わが精神の周囲』 青空文庫
一閑張の机を取巻いて家族が取交す晩餐の談話というのは、今日の昼過ぎ何処そこの叔父さんが来てこの春の母が病気の薬代をどういったとか、実家の父が免職になったとか、それから続いて日常の家計談になる。
— 永井荷風 『監獄署の裏』 青空文庫
平次は見ている前で喜平に死なれたのですから、その毒が、先刻田原屋から届いた、疝気の薬の他にないことをよく知っております。
— 二服の薬 『銭形平次捕物控』 青空文庫
その病気の薬を僕は見つけたのだ。
— 内山完造 『魯迅さん』 青空文庫
何やらの手ざわりに似たイナのへそ江戸前の釣り・ハゼ〈十一月・十二月〉かぶりつく釣り弁当や沖のハゼ 彼岸お中日のハゼは中気の薬になる、と東京では古くからいわれている。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫