蝋色
ろいろ
名詞
標準
文例 · 用例
…… 頤骨が尖り、頬がこけ、無性髯がざらざらと疎く黄味を帯び、その蒼黒い面色の、鈎鼻が尖って、ツンと隆く、小鼻ばかり光沢があって蝋色に白い。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
「白のニッケル、マホガニー材、蝋色の大理石、これだけあれば、俺はどんな感情でも形に纏めてみせるね。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
が、茉莉の顔はその色に染まりながら、いや、そのために一層、みるみる蝋色の不気味さに変って行くのが、判るようだった。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
その布の下に、茉莉の蝋色の顔があった。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
それからもう一人は、全く見知らぬ無言役者、――すなわち今夜の大活劇に、最も重要な役目を演じた、私の友人の蝋色の胸像――なるほど実に驚異すべきまでに、その真を模写していた。
— コナン・ドイル 『空家の冒険』 青空文庫
こを飲まば刹那の刹那、歎く血の歓楽にこそ、――痛ましき封蝋色の汝が胸も、焦げつつ聴かめ、この夜半に音なく響く管絃楽、虚無より曳ける青き火の丈長髪を。
— 北原白秋 『第二邪宗門』 青空文庫
ぬからずに洗っておいでよ」 命じておくと、ひと足先に伝六を駕籠で送り出しておきながら、右門は結城袷の渋好みづくりに、細身の蝋色鞘をおとし差しにして、ゆうぜんと本石町へやって参りました。
— 足のある幽霊 『右門捕物帖』 青空文庫
背丈なら凡そ五尺六寸、上背のあるその長身に、蝋色鞘の長い奴をずっと落して差して、身分を包むためからか、面は宗十郎頭巾に深々とかくしながら、黒羽二重を着流しの、素足に意気な雪駄ばきというりりしい姿です。
— 旗本退屈男 『旗本退屈男 第一話』 青空文庫