秘庫
ひこ
名詞
標準
文例 · 用例
その、わが折竹の大奇談の秘庫へ、いよいよこれから分け入ってゆくことになるのだ。
— 小栗虫太郎 『「太平洋漏水孔」漂流記』 青空文庫
この貴重な秘庫を民間奇特者に解放した一事だけでも鴎外のような学術的芸術的理解の深い官界の権勢者を失ったのは芸苑の恨事であった。
— 内田魯庵 『鴎外博士の追憶』 青空文庫
本土の外の秘庫 山麓の宿舎に入って、私はさっきから気になって仕方のなかったことを、白木に訊ねたのであった。
— 海野十三 『暗号音盤事件』 青空文庫
民間だけでなく、ずっと後ではあるが、光圀の書面をたずさえた大串元善は、京都の菊亭内府を訪れて、宮中の秘庫につたわる貴重な文書や書籍の借覧まで熱心に願い出ていた。
— 吉川英治 『梅里先生行状記』 青空文庫
――蘭丸」「はい」「どこからこのような緻密な絵図を、早速にとり寄せて参ったのか」「母の禅尼が、さる寺院の秘庫にあるのを、前より知っておりましたとかで」 彼の母というのは、妙光尼といって、いうまでもなく、織田家の忠臣森三左衛門|可成の後家である。
— 第五分冊 『新書太閤記』 青空文庫
それとも、母の尼などの手から、図面とか資料とかを、他家の秘庫より借りうけてでもおるのではないか」「…………」「……なぜ答えぬ。
— 第五分冊 『新書太閤記』 青空文庫
将軍家の秘庫の宝物たりといえどかれの手のとどかないものではありません。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
もし、再びその仮面が彼の手に奪われることがあったら、もう滅多にあの品物の秘庫に返ってくる日はのぞまれない。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫