水波
すいは
名詞
標準
文例 · 用例
渠水波なく、古宮空しく聳ゆる處、我が爲めには神話中の夢幻界を現じ來れり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
澄みきった天心に、皎々たる銀盤が一つ、ぽかッと浮び、水波渺茫と霞んでいる辺りから、すぐ眼の前までの一帯の海が、限りない縮緬皺をよせ、洋上一面に、金光が、ちろッちろッと走っているさまは、誠に、もの凄まじいばかりの景色でした。
— 田中英光 『オリンポスの果実』 青空文庫
この時に、私は、日本の井戸と、ミズハノメノミコト(水波能売命)とも呼ばれる二つの名を持つ井戸の守り神にまつわるいくつかの事柄を知ったのだった。
— BITS OF LIFE AND DEATH 『死生に関するいくつかの断想』 青空文庫
河畔の木陰にテントを張ってはるかに浜辺をみわたせば、水波びょうびょうとして天に接し、眼界の及ぶかぎり一片の帆影も見えぬ、遠い波は青螺のごとくおだやかに、近い波はしずかな風におくられて、ところどころに突出した岩礁におどりあがりまいあがり、さらさらとひいてはまたぞろぞろとたわむれている。
— 佐藤紅緑 『少年連盟』 青空文庫
真如は大海の水の如く、無明は業風によって起る波浪の如しと申しますれば、水のほかに浪無く、浪のほかに水無く、海水波浪一如なる道理のほどはわかりますが、円満なる大海の水を、波濤として湧き立たせる業風は、そもいずれより来るということがわかりませぬ。
— 弁信の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
阿房とはたが名づけしか大海を、はうちて渡る影ぞいさまし 風穏やかなれども、海水波動をえがく。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
モシソレ薫風南ヨリ来ツテ水波紋ヲ生ジ、新樹空ニ連ツテ風露香ヲ送ル。
— 永井荷風 『向嶋』 青空文庫
その時の作七言古詩の末句に「水波四囲似蜃楼。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫