砂風
さふう
名詞
標準
文例 · 用例
土人のおそろしい兇器のやうにいろいろな呪文がそこらいつぱいにかかつてしまつた景色はもうろうとして暗くなるしへんてこなる砂風がぐるぐるとうづをまいてる。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
最後のクライマックスとして、荒野を吹きまくる砂風に乗じていわゆる「アジアのあらし」が襲来する場面がある。
— 寺田寅彦 『映画雑感(1)』 青空文庫
この町につづいた浜脇といふところには又砂風呂といふのがあつて、囲ひの枠に頭と足をもたせて、砂のなかに体を半分埋めてゐると、下から湯が噴き出して来る。
— 徳田秋聲 『佗しい放浪の旅』 青空文庫
」加集はその背を壁にもたせて、女と義雄とをどツちにも横目で見るやうにして、「實は、もう――僕のうちへもとまつたし、大森の砂風呂へも一緒に行たし、――」 義雄はこれを聽いて、くわツとのぼせた。
— 毒藥を飮む女 『泡鳴五部作』 青空文庫
つまらない女ばかり引っかけまわって、この大森の砂風呂なんかによく来るので、自然吾々の仲間にも顔が通っている。
— 夢野久作 『二重心臓』 青空文庫
蒸湯もあれば砂風呂もあつた。
— 田山録弥 『女の温泉』 青空文庫
彼は砂風の巻き上る中を、一日に二度ずつ妻の食べたがる新鮮な鳥の臓物を捜しに出かけて行った。
— 横光利一 『春は馬車に乗って』 青空文庫
時々ホテル、お寺という想念が雲母の如くぎらぎらと光を帯びて正面に塞がるけれど、立ち所に又激しい砂風におおいまくられてしまう。
— 金史良 『天馬』 青空文庫