樹
き
名詞
標準
文例 · 用例
二荒の裾山樹々の梢に鶯の今をさかりと鳴く声いとめずらし。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
屋敷の西側に一丈五六尺も廻るような椎の樹が四五本重なり合って立って居る。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
村はずれの坂の降口の大きな銀杏の樹の根で民子のくるのを待った。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
畑の真中ほどに桐の樹が二本繁っている。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
高くもないけど道のない所をゆくのであるから、笹原を押分け樹の根につかまり、崖を攀ずる。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
そのことは賀茂真淵の弟子の加藤美樹の説として『古言梯』の初めに出ております。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
我が宿の大樹にはとまりてさへ鳴くものを、夜ふけ枕にこゝろし給へ。
— 樋口一葉 『すゞろごと』 青空文庫
人は夜の夢の中で、樹人や火人であつた頃の、先祖の古い記憶を再現し、いつも我等の生命を脅かして居たところの、妖怪變化の恐ろしい姿や、得體の解らぬ怪獸やの、魑魅魍魎の大群に取り圍まれて魘されてゐる。
— 萩原朔太郎 『夢』 青空文庫