折り枝
おりえだ
名詞
標準
文例 · 用例
梅の折り枝の上に蝶と鳥の飛びちがっている支那風な気のする白い袿に、濃い紅の明るい服を添えて明石夫人のが選ばれたのを見て、紫夫人は侮辱されたのに似たような気が少しした。
— 玉鬘 『源氏物語』 青空文庫
青地の高麗錦の縁を取った敷き物の中央にもすわらずに琵琶を抱いて、きれいに持った撥の尖を絃の上に置いているのは、音を聞く以上に美しい感じの受けられることであって、五月の橘の花も実もついた折り枝が思われた。
— 若菜(下) 『源氏物語』 青空文庫
沈の木の折敷が四つ、紫檀の高坏、藤色の村濃の打敷には同じ花の折り枝が刺繍で出してあった。
— 宿り木 『源氏物語』 青空文庫
六左衛門この体を見て大いにいきどおり、梅の折り枝を手に持って、蛇をうってその左の目を傷つけたら、蛇は隠れ去り、神輿は事故なく動いて、御遷宮をすませました。
— 柳田國男 『日本の伝説』 青空文庫
『徒然草』の「あやめふく頃」で思い出すのはベルリンに住んではじめての聖霊降臨祭の日に近所の家々の入口の軒に白樺の折枝を挿すのを見て、不思議なことだと思って二、三の人に聞いてみたが、どうした由来によるものか分らなかった。
— 寺田寅彦 『五月の唯物観』 青空文庫
重太郎は眼を丸くして眺めていたが、やがて懐中から椿の折枝を把出して見せた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
貴族院議員の愛娘とて、最も不器量を極めて遺憾なしと見えたるが、最も綺羅を飾りて、その起肩に紋御召の三枚襲を被ぎて、帯は紫根の七糸に百合の折枝を縒金の盛上にしたる、人々これが為に目も眩れ、心も消えて眉を皺めぬ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
少年の立ってる足許に野菊の折枝が二、三本あしらってあるが、もう殆ど仕上りに近づいた時丁度私が行き合わしてると、「さぁ今度は野菊を描かんならぬ。
— 土田麦僊追悼 『土田さんの芸術』 青空文庫