将自
しょうじ
名詞
標準
文例 · 用例
大将自身の心の中でも、ここしばらくは夫人に発作のないようにと祈っていた。
— 真木柱 『源氏物語』 青空文庫
輦車が寄せられて、内大臣家、大将家のために尚侍の退出に従って行こうとする人たちが、出立ちを待ち遠しがり、大将自身もむつかしい顔をしながら、人々へ指図をするふうにしてその辺を歩きまわるまで帝は尚侍の曹司をお離れになることができなかった。
— 真木柱 『源氏物語』 青空文庫
そうはさせながら大将自身も美しい人の隠れてしまったのは物足らなかったのであるが、そのうち猫の綱は直されて御簾も下りたのを見て、大将は思わず歎息の声を洩らした。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
左大将夫人が兄のためにささげ物をしたのはいうまでもないが、大将自身も真心のこもったささげ物をしたし、誦経の寄付などにも並み並みならぬ友情を示した。
— 柏木 『源氏物語』 青空文庫
これに比ぶれば、朝倉方は大将自身出馬せず、しかも大将義景の因循姑息の気が、おのずと将士の気持にしみ渡っていただろうから、浅井家の将士ほど真剣ではなかったであろう。
— 菊池寛 『姉川合戦』 青空文庫
中将が手を通さうとすると気が進まなささうに、ぐたりとなつてゐたが、実際|胸釦を穿めて、鏡の前に立つてみると、中将自身すら気が咎めてならない程折目折目が痛むでゐる上に、肝腎の金ぴかが厭に燻んだ色をしてゐた。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
しかし、地丸左陣方でも、大将自身出馬して物慣れた采配を揮い出してからは、士気にわかに奮い立ち、反対に敵を圧迫し取られた木戸を取り返そうとした。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
恐らく小まといなる物が、ある武士の国に作り出されて、大将自身に振つて居たのが、出来るだけ全軍の目につく様にといふ目的から、次第に大きなまといに工夫しなほされ、やがては大将在処の標ともなつたものであらう。
— 折口信夫 『まといの話』 青空文庫