朱砂
しゅしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
蕃童は朱砂をよろしと、風向ふ草をよろしと。
— 北原白秋 『新頌』 青空文庫
朱砂にして雨ふりながす朝の道山片附けば北の関見ゆふかみどり櫨の木かげに佇つ見れば童女は愛し母によく似て玉名郡関の山家は築畦の石塊黒く夏まけにけり朱砂ながらさびし山家の壁のいろ薄日蒸したり母の関町北九州雑唱宰府道筑紫の、櫨の木原、木原には夕光満ち、夕光に鷽鳥啼けり。
— 北原白秋 『夢殿』 青空文庫
器を以て養うに朱砂を以てすれば体ことごとく赤し、食うところ七斤に満ちて、始め擣くこと万|杵にして女の支体に点ずれば、終年滅せず、ただ房室の事あればすなわち滅す(宮女を守る)。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
富岡町の〈金城〉ってバアの女給に、朱砂ハナ、ってのがいてね。
— 久生十蘭 『金狼』 青空文庫
アパートの女将の朱砂ハナというのは、琉球の絲満の生れで、ついこの頃まで洲崎のバアで女給をしていた。
— 久生十蘭 『金狼』 青空文庫
カーテンをおし開けて事務室へはいってゆくと、薄暗い隅の長椅子に乾と朱砂ハナが並んで、なにかこそこそと話をしていた。
— 久生十蘭 『金狼』 青空文庫
ひとりは、絲満の以前の情婦で……いま〈フレンド荘〉をやっている朱砂ハナ。
— 久生十蘭 『金狼』 青空文庫
……だが朱砂ハナのほうは、事件のあった十八日以前に、密淫売のかどで検挙られて、事件の当夜は洲崎署の留置場にいたんです。
— 久生十蘭 『金狼』 青空文庫